【歯科衛生士の微生物学】感染経路と感染様式

病原体がどのように感染を起こすのかという「感染経路」と、ヒトを病原体とみなしたときの感染の仕方をまとめました。

感染経路

病原体は以下の流れで感染する。

直接伝播

何も介さずに直接病原体が侵入することで感染が起こることを「直接伝播」という。

直接接触感染

直接接触感染とは、感染源に直接接触することで起こる感染。性感染症がこれ。

飛沫感染

飛沫とは、呼吸器から生じた、病原体を含んだしぶきのこと。飛沫が口や鼻、目から直接体内に侵入することで起こる感染。

間接伝播

病原体に汚染された物質に触れたり吸い込んだりすることで感染が起こることを「間接伝播」という。

媒介物感染

媒介物感染とは、物を介して起こる感染のこと。媒介物の種類で感染経路をさらに分けられる。

食物媒介性感染

病原体に汚染された食物を介して起こる感染。食中毒がこれ。

血液媒介性感染

病原体に汚染された血液を介して起こる感染。輸血で起こる感染症がこれ。

塵埃感染

塵埃は“じんあい”と読む。

塵埃感染は、空気中を浮遊している、病原体で汚染された微粒子(エアロゾル)を介して起こる感染。後述する空気感染の一種でもある。

媒介動物感染

カやダニ、ノミなどの節足動物(ベクター)を介して起こる感染。病原体を保有するヒトや動物の吸血をすることで、ほかのヒトや動物に病原体を伝播させる。

空気感染(飛沫核感染)

空気感染(飛沫核感染)とは、飛沫核を吸入することで起こる感染。飛沫核とは、飛沫の水分が蒸発して微粒子になったもの。

感染様式

ヒトを病原体とみなしたときの感染様式には「水平感染」「垂直感染」がある。

水平感染

水平感染とは、ヒトからヒトへ感染すること。

垂直感染

垂直感染とは、母から児へ感染すること。「経胎盤」「経産道」「経母乳」の3つの感染経路がある。

まとめ

感染経路には大きく分けて「直接伝播」と「間接伝播」がある。直接伝播は「直接接触感染」「飛沫感染」、間接伝播は「媒介物感染」「媒介動物感染」「空気感染(飛沫核感染)」。

また、ヒトからヒトへと伝わる感染を「水平感染」といい、母から児へ伝わる感染を「垂直感染」という。垂直感染には、経胎盤・経産道・経母乳の3つの経路がある。