真菌の形態と構造についてのまとめ。
真菌とは
真菌は、10μm程度の大きさの真核生物。核膜をもち、細胞小器官が発達している。
土壌中や水中、枯れた植物、動物の死体などに生息。有機物を分解し、自然界の元素を循環させている。
真菌の発酵能力は、酒やビール、味噌、チーズなどの製造に用いられている。一方で、食品の腐敗や生活用品の劣化、動植物の病気を引き起こすこともある。ヒトや動物に感染症を起こすものは「病原真菌」と呼ばれている。
真菌の形態
真菌の形状は基本的に「菌糸形」と「酵母形」。ほかに、両方の形をとる「二形性」の真菌もある。
菌糸形
菌糸形は、胞子から発芽し、先端が糸のように伸びて成長するもの。分裂はせず、胞子を。
酵母型
酵母型は球形のもの。出芽や分裂で増殖する。
酵母型の真菌も場合によっては菌糸のような形になることがあり、これを「仮性菌糸」という。
二形性
二形性の真菌は、環境により菌糸型になったり酵母型になったりする。病原真菌の多くが二形性をもつ。
通常、培養条件下では菌糸型をとり、感染組織内では酵母型をとる。ただし、カンジダ・アルビカンスは例外で、培養条件下では菌糸型、感染組織内では酵母型になる。
真菌の構造
真菌の構造について。
細胞壁
真菌の細胞壁は下記の成分で構成されている。
- キトサン(菌種によってはキチン)
- β-D-グルカン
- マンナン
キトサンはグルコサミンの重合体、キチンN-アセチル-D-グルコサミンの重合体、β-D-グルカンはグルコースとグルコサミンの重合体、マンナンはマンノースの重合体。いずれも多糖。
β-D-グルカンは生物界では真菌だけがもつ成分。
成分の割合は、菌糸型と酵母型で異なる。菌糸型ではキトサン(キチン)とβ-D-グルカンが多く、酵母型ではマンナンが多い。
細胞膜
細胞膜はエルゴステロールで構成される。エルゴステロールは真菌特有の成分。
細胞質内
細胞質内には下記のような構造物が存在する。
- 核
- ミトコンドリア
- 粗面小胞体
- 液胞
細菌との違いは、「核が核膜に包まれていること」と「細胞小器官が発達していること」。
まとめ
真菌は核膜をもつ真核生物で、細胞小器官が発達している。大きさは10μm程度。
細胞壁の構成成分は「キトサン(キチン)」「β-D-グルカン」「マンナン」(いずれも多糖)。β-D-グルカンは真菌のみがもつ成分。
細胞膜の構成成分は「エルゴステロール」。これも真菌特有の成分。
形は「菌糸型」「酵母型」「二形性」。多くの病原真菌は二形性。基本的に培養条件下では菌糸型をとり、感染組織内では酵母型をとる(カンジダ・アルビカンスは例外で、その逆)。