細菌の遺伝について。
細菌の遺伝情報をもつ物質とその特徴
細菌の遺伝情報をもつ物質には、「染色体」「プラスミド」がある。
染色体
細菌の染色体の特徴は以下のとおり。
細菌の染色体は二本鎖DNAからなる。基本的に、形は環状で、数は1個。核膜がなく、むき出しの状態で細胞質内に存在する。核膜がない生物は細菌のみ(ウイルスは生物ではないので除外)。
形状と個数の例外は、
- ボレリア属:1個だが線状
- ビブリオ属:環状だが2個
などがある。
染色体の遺伝子数は、自然界で生存する力が強いもの(例:大腸菌、緑膿菌)では多く、ヒトや動物などに寄生しないと生存が難しいもの(例:ボレリア属、マイコプラズマ属)では少ない。
プラスミド
多くの細菌は、上に書いた染色体のほかにも、遺伝情報をもつ物質「プラスミド」を所有する。
プラスミドは小さな環状の二本鎖DNA。染色体とは離れたところに存在する。
生存に必要な遺伝子をもつわけではないが、薬剤耐性遺伝子や病原性に関わる遺伝子など、「生きやすくなるための遺伝子」をもっている。細胞が増殖するときに複製され、子孫に受け継がれていく。
細菌の増殖についてはこちら
- Rプラスミド:薬剤耐性に関わる遺伝子をもつ
- Fプラスミド:接合により、ほかの菌に遺伝子を移す能力をもつ
Rプラスミドには、薬剤から身を守るための情報が組み込まれている。Fプラスミドは自らの性質をほかの菌に送り込む。