生物の分類

歯科衛生士のぼらんです。

今回は「生物の分類」について、

  • 原核生物と真核生物の違い
  • 真正細菌と古細菌の違い
  • 3ドメイン説

などを微生物学の教科書をもとに説明します。

学習&振り返りにお役立てください。

生物の分類1「原核生物と真核生物」

まずは、「原核生物」と「真核生物」という2分類について見ていきましょう。

原核生物の例

「原核生物」は以下の生物を指します。

  • 真正細菌
  • 古細菌

真正細菌は私たちがふだん「細菌」と呼ぶようなもので、病原性のあるものはすべて真正細菌です。

古細菌は、油田や塩田などの“極限環境”で生息できるようなものをいいます。

真正細菌と古細菌の違い

真正細菌と古細菌の違いは、「細胞壁の基本成分」です。

(※細胞膜の組成やリボソームの大きさなども違いますが、詳細はここでは割愛します。)

真正細菌ペプチドグリカン(多糖+ペプチド)
古細菌S層(タンパク質性の単分子層)
真正細菌と古細菌の細胞壁の基本成分

真正細菌の細胞壁にもS層はありますが、基本成分はペプチドグリカンです。

一方、古細菌の細胞壁にはペプチドグリカンがないため、呼称に「細菌」とつきますが真正細菌と古細菌はまったくの別物です。

真核生物の例

一方、「真核生物」は以下の生物を指します。

  • 動物
  • 植物
  • 藻類
  • 原虫(原生生物)
  • 真菌

つまり真核生物は“真正細菌・古細菌以外の生物”のことです。

原核生物と真核生物の特徴の違いを表で比較!

それでは、原核生物と真核生物の特徴の違いを表で比較してみましょう。

原核生物真核生物
核膜なしあり
染色体数1 or 2多数
ミトコンドリアなしあり
葉緑体なしあり or なし
アメーバ運動なしあり
細胞壁あり
※マイコプラズマはなし
あり or なし
細胞壁の基本成分ペプチドグリカン
※古細菌を除く
キチン
マンナン
セルロースなど

決定的な違いは「核膜の有無」ですね。

※核膜は染色質(クロマチン)や核小体などを包む膜のこと。

表を見ると、真核生物は複雑な構造をしていることが伺えます。

核は核膜に包まれているから核と呼びます。

一方、原核生物のように核膜がない場合は「染色体」や「核様体」と呼ばれ、核とは区別されます。

生物の分類2「3ドメイン説」

生物の分類の仕方として長らく定着しているのが「3ドメイン説」です。

これは生物を

  1. 古細菌
  2. 真正細菌
  3. 真核生物

に分けたものです。

真正細菌と古細菌は同じ原核生物でも細胞壁の基本成分が大きく異なるため、「原核生物」と一括りにするのをやめたのですね。

3ドメイン説では、古細菌・真正細菌・真核生物はそれぞれ共通の祖先から枝分かれして誕生したと考えられています。

ちなみに、古細菌と私たち真核生物には共通点が多いようです。驚きですね。

最近は「2ドメイン説」も出てきているようです。

これは生物を「古細菌」と「真正細菌」に分けたもの。

2ドメイン説では、私たち真核生物は「古細菌」から発生したと考えられています。

今後2ドメイン説が定説になる日が来るのでしょうか。

まとめ:現在有力な生物の分類は「3ドメイン説」

生物は大きく分けて

  • 原核生物
  • 真核生物

に分けられます。

原核生物:古細菌、真正細菌

真核生物:動物、植物、藻類、真菌、原虫(原生生物)

この2つの最も大きな違いは、「核膜の有無」です。

原核生物には核膜がなく、真核生物には核膜があります。

現在、生物を系統的に分類する場合に最も有力なのは「3ドメイン説」です。

古細菌と真正細菌では細胞壁の基本成分などが異なるため、「原核生物」と一括りにせず、

  1. 古細菌
  2. 真正細菌
  3. 真核生物

このように3つに分けます。

3ドメイン説では、共通の祖先から枝分かれしてそれぞれの生物が誕生したと考えられています。