抗菌薬とは

抗菌薬とはどのようなものか、ということを簡単にまとめました。

参考書籍

医学書院 系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進④ 微生物学 第11版第6刷
医学書院 標準微生物学 第14版

抗菌薬とは

抗菌薬は細菌感染症の治療に用いられる化学療法薬である。細菌にしか効果を示さない。

製造過程の違いによる抗菌薬の分類

抗菌薬は製造過程の違いから、

  • 抗生物質
  • 合成抗菌薬
  • 半合成抗菌薬

に分けられる。

抗生物質

抗生物質は真菌や放線菌などの微生物からつくられたもの。

合成抗菌薬

合成抗菌薬は化学物質を人工的に合成してつくられたもの。

半合成抗菌薬

半合成抗菌薬は、抗生物質を化学的に修飾したり、構成を変えたりしてつくられたものである。

殺菌するか静菌するかによる抗菌薬の分類

抗菌薬は細菌に示す効果の違いによって、「殺菌性抗菌薬」と「静菌性抗菌薬」に分けることもできる。

殺菌性抗菌薬

殺菌性抗菌薬は、分裂増殖中の細菌を死滅させる抗菌薬。細胞分裂の盛んな細菌に効果を示すため、静菌性抗菌薬との併用はできない(静菌させてしまっては殺菌効率が落ちるから)。

静菌性抗菌薬

静菌性抗菌薬は、分裂増殖中の細菌の発育速度を抑える抗菌薬。細菌の殺菌・排除は食細胞に委ねられる。

効果の現れ方による抗菌薬の分類

抗菌薬はさらに、効果の現れ方によっても分類することができる。

濃度依存性抗菌薬

抗菌薬の血中濃度が高ければ高いほど効果を示す抗菌薬。1回の投与量を増やした方が高い効果を得られる(もちろん安全域内での使用で)。

よく効く一方、副作用も強い。

時間依存性抗菌薬

抗菌薬の作用する時間が長ければ長いほど効果を示す抗菌薬。投与量が同じならば、1日数回に分けて投与した方が高い効果を得られる。

抗菌薬の投与経路と剤形

抗菌薬には下記のような投与経路がある。

  • 皮膚
  • 筋肉
  • 静脈

剤形としては、経口投与の場合、錠剤や細粒、シロップなどがある。皮膚に塗布するものには軟膏やクリームがあり、眼には点眼薬がある。