感染症法は、患者の人権を尊重しながら感染症の監視体制を強化するために制定された。当記事には、感染症法における監視対象の疾患を分類ごとに記載する。なお、最新の情報は厚生労働省HPを参照されたい(当記事執筆:2024年1月)。
【参考文献】
医学書院 系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進④ 微生物学 第11版第6刷
感染症分類表|厚生労働省(PDF)
感染症法に基づく医師の届出のお願い|厚生労働省
1類感染症
- エボラ出血熱
- クリミア・コンゴ出血熱
- 痘瘡
- 南米出血熱
- ペスト
- マールブルグ病
- ラッサ熱
第1類感染症は、患者・疑似症のある者・無症候病原体保有者のすべてに入院勧告と就業制限をしなくてはならない感染症。
痘瘡の原因となる痘瘡ウイルスは、現在根絶されており、自然界には存在しないが、第1類感染症に指定されている。
2類感染症
- 急性灰白髄炎
- 結核
- ジフテリア
- 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)
- 中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る)
- 鳥インフルエンザ(H5N1)
- 鳥インフルエンザ(H7N9)
2類感染症は、患者・疑似症のある者(急性灰白髄炎とジフテリアを除く)に入院勧告を、患者・疑似症のある者(急性灰白髄炎とジフテリアを除く)・無症候病原体保有者に就業制限をしなければならない感染症(急性灰白髄炎とジフテリアを除く)。
3類感染症
- コレラ
- 細菌性赤痢
- 腸管出血性大腸菌感染症
- 腸チフス
- パラチフス
3類感染症は、患者と無症候病原体保有者に就業制限をしなければならない感染症。入院勧告はしなくてもよい。
4類感染症
- E型肝炎
- ウエストナイル熱
- A型肝炎
- エキノコックス症
- エムポックス
- 黄熱
- オウム病
- オムスク出血熱
- 回帰熱
- キャサヌル森林病
- Q熱
- 狂犬病
- コクシジオイデス症
- ジカウイルス感染症
- 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
- 腎症候性出血熱
- 西部ウマ脳炎
- ダニ媒介脳炎
- 炭疽
- チクングニア熱
- つつが虫病
- デング熱
- 東部ウマ脳炎
- 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザH5N1及びH7N9を除く)
- ニパウイルス感染症
- 日本紅斑熱
- 日本脳炎
- ハンタウイルス肺症候群
- Bウイルス病
- 鼻疽
- ブルセラ症
- ベネズエラウマ脳炎
- ヘンドラウイルス感染症
- 発疹チフス
- ボツリヌス症
- マラリア
- 野兎病
- ライム病
- リッサウイルス感染症
- リフトバレー熱
- 類鼻疽
- レジオネラ症
- レプトスピラ症
- ロッキー山紅斑熱
4類感染症は、入院勧告も就業制限もしなくてもよい感染症。ただし、保健所への届出は必要。
5類感染症
- アメーバ赤痢
- ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)
- カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症
- 急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く)
- 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)
- 後天性免疫不全症候群
- ジアルジア症
- 侵襲性インフルエンザ菌感染症
- 侵襲性髄膜炎菌感染症
- 侵襲性肺炎球菌感染症
- 水痘(入院例に限る)
- 先天性風疹症候群
- 梅毒
- 播種性クリプトコックス症
- 破傷風
- バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
- バンコマイシン耐性腸球菌感染症
- 百日咳
- 風疹
- 麻疹
- 薬剤耐性アシネトバクター感染症
- RSウイルス感染症[小児科]
- インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)
- 咽頭結膜熱[小児科]
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎[小児科]
- 感染性胃腸炎(ロタウイルスによるもの)[小児科]
- クラミジア肺炎
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- クリプトスポリジウム症
- 劇症型溶血性レンサ球菌感染症
- 細菌性髄膜炎(侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症及び侵襲性肺炎球菌感染症を除く)
- 水痘[小児科]
- 性器クラミジア感染症[STD]
- 性器ヘルペスウイルス感染症[STD]
- 尖圭コンジローマ[STD]
- 手足口病[小児科]
- 伝染性紅斑[小児科]
- 突発性発疹[小児科]
- ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
- ヘルパンギーナ[小児科]
- マイコプラズマ肺炎
- 無菌性髄膜炎
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
- 薬剤耐性緑膿菌感染症
- 感染性出血性結膜炎[眼科]
- 流行性角結膜炎
- 流行性耳下腺炎[小児科]
- 淋菌感染症[STD]
- 新型コロナウイルス
5類感染症も4類感染症と同様に、入院勧告や就業制限はしないが保健所への届出が必要な感染症。小児科や眼科など、限定的に届出を義務付けられている場合がある。