【歯科衛生士の微生物学】細菌の変異

細菌の変異について。

参考書籍

系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進4 微生物学 第11版第6刷

細菌の変異

細菌は時に“変異”する。変異とは、細菌の性質が変わること。

細菌の変異現象

細菌は下記のような変異を起こす。

  • 形態の変異
  • コロニーの変異
  • 抗原の変異
  • 毒力の変異
  • 耐性の変異

形態の変異

鞭毛や線毛、莢膜などが消失する。

細菌の形態・構造についてはこちら

コロニーの変異

リポ多糖が完全につくられず乾燥した感じのコロニーになったり、粘稠性のあるコロニーが通常のコロニーになったりする。

抗原の変異

O抗原・H抗原・K抗原(グラム陰性菌がもつ抗原)が変化し、血清型が多様化する。

毒力の変異

突然変異やプラスミドの獲得・消失によって毒力が変化する。

耐性の変異

突然変異やプラスミドの移行により、化学療法薬や消毒薬、重金属への抵抗性が増す。

細菌が変異を起こす原因

細菌が変異を起こす原因には

  • 突然変異
  • プラスミドの獲得・消失
  • バクテリオファージの感染

などがある。

突然変異

突然変異が起こると細菌は性質を変える。

突然変異は、何らかの理由でDNAの複製エラーが起こったり、塩基配列が変わったりすることで生じる。

プラスミドの獲得・消失

プラスミドを獲得・消失すると、薬剤耐性や毒力が変化する。

バクテリオファージの感染

バクテリオファージは細菌に感染するウイルス。細菌もヒトと同じように、ウイルスから影響を受ける。

まとめ

細菌は変異によって性質を変える。

変異は

  • 突然変異
  • プラスミドの獲得・消失
  • バクテリオファージの感染

などの原因で起こり、

  • 鞭毛や線毛、莢膜などの消失
  • コロニーの性状の変化
  • 血清型の多様化
  • 毒力の変化
  • 薬物や重金属などへの抵抗性の増大

などの現象を来す。