細菌の分類についてのまとめ。
細菌の分類方法
細菌の分類は下記をもとに行われる。
- 遺伝子の構造
- 塩基配列
- 細胞の形態・構造
- 細胞膜の組成
「遺伝子の構造」と「塩基配列」による分類が主だが、そのほかのものも補完的に利用される。
細菌の分類階級
細菌には分類階級がある。分類階級は、似た者同士をまとめた「分類群」をさらに細かく分類していくもの。
私たちヒトで例えると、「霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト(種)」というのと同じ(ヒトでも細菌でも、実際にはもう少し細かい分類階級があるが、微生物学の教科書ではなかなか出てこないので省略)。
以下ではストレプトコッカス・ミュータンスを例にして、それぞれの階級の説明をする。
ちなみに、ストレプトコッカス・ミュータンスは「ラクトバチルス目・レンサ球菌科・レンサ球菌属・Streptococcus mutans」。
目
ストレプトコッカス・ミュータンスはラクトバチルス目の菌。
この階級に分類される菌は、ものすごく大雑把に見れば仲間ということ。
科
科は目をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌科の菌。
ラクトバチルス目に分類される科は下記のとおり。
- ラクトバチルス科
- アエロコックス科
- カルノバクテリウム科
- エンテロコッカス科
- ロイコノストック科
- レンサ球菌科
属
属は科をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌属の菌。
レンサ球菌科に分類される属は下記のとおり。
- レンサ球菌属
- ラクトコッカス属
- ラクトウム属
種
種は属をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌属に分類されている。
レンサ球菌属に分類され、口腔内に存在する種は下記のとおり。
- S.mutans
- S.salivarius
- S.mitis
- S.sanguinis
- S.mitior
- S.sobrinus
型
種をさらに分類したもの。型で分けると、個々に合わせた感染対策を立てられる。菌の型別で有名なのは、大腸菌のO-157。
ストレプトコッカス・ミュータンスにも型別があるのかは不明。正確な情報を見つけ次第、追記する。
型による分け方の種類(型別)とそれぞれの観察する点は下記のとおり。
- 血清型別:O抗原・H抗原・K抗原など
- 生物型別:生化学的・生理学的特徴
- ファージ型別:バクテリオファージの感受性
- 栄養要求型別:必要とする栄養素
- 病原型別:病原性
大腸菌のO-157は血清型による分類。O-157は「157番目に発見されたO抗原」という意味。
まとめ
細菌は「目・科・属・種」に分けられる。
俗に言う「○○菌」が「種」を指すこともあれば「属」を指すこともあるのが厄介。たとえば「ビフィズス菌」は「ビフィドバクテリウム属の菌」のことなのだが、世間的には「種」として解釈されることが多い。医療従事者ならしっかりと整理しておきたいところ(自戒)。