【歯科衛生士の微生物学】細菌の分類

細菌の分類についてのまとめ。

参考書籍

系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進④ 微生物学 第11版第6刷

細菌の分類方法

細菌の分類は下記をもとに行われる。

  • 遺伝子の構造
  • 塩基配列
  • 細胞の形態・構造
  • 細胞膜の組成

「遺伝子の構造」と「塩基配列」による分類が主だが、そのほかのものも補完的に利用される。

細菌の分類階級

細菌には分類階級がある。分類階級は、似た者同士をまとめた「分類群」をさらに細かく分類していくもの。

私たちヒトで例えると、「霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト(種)」というのと同じ(ヒトでも細菌でも、実際にはもう少し細かい分類階級があるが、微生物学の教科書ではなかなか出てこないので省略)。

以下ではストレプトコッカス・ミュータンスを例にして、それぞれの階級の説明をする。

ちなみに、ストレプトコッカス・ミュータンスは「ラクトバチルス目・レンサ球菌科・レンサ球菌属・Streptococcus mutans」。

ストレプトコッカス・ミュータンスはラクトバチルス目の菌。

この階級に分類される菌は、ものすごく大雑把に見れば仲間ということ。

科は目をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌科の菌。

ラクトバチルス目に分類される科は下記のとおり。

  • ラクトバチルス科
  • アエロコックス科
  • カルノバクテリウム科
  • エンテロコッカス科
  • ロイコノストック科
  • レンサ球菌科

属は科をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌属の菌。

レンサ球菌科に分類される属は下記のとおり。

  • レンサ球菌属
  • ラクトコッカス属
  • ラクトウム属

種は属をさらに分類したもの。ストレプトコッカス・ミュータンスはレンサ球菌属に分類されている。

レンサ球菌属に分類され、口腔内に存在する種は下記のとおり。

  • S.mutans
  • S.salivarius
  • S.mitis
  • S.sanguinis
  • S.mitior
  • S.sobrinus

種をさらに分類したもの。型で分けると、個々に合わせた感染対策を立てられる。菌の型別で有名なのは、大腸菌のO-157。

ストレプトコッカス・ミュータンスにも型別があるのかは不明。正確な情報を見つけ次第、追記する。

型による分け方の種類(型別)とそれぞれの観察する点は下記のとおり。

  • 血清型別:O抗原・H抗原・K抗原など
  • 生物型別:生化学的・生理学的特徴
  • ファージ型別:バクテリオファージの感受性
  • 栄養要求型別:必要とする栄養素
  • 病原型別:病原性

大腸菌のO-157は血清型による分類。O-157は「157番目に発見されたO抗原」という意味。

まとめ

細菌は「目・科・属・種」に分けられる。

俗に言う「○○菌」が「種」を指すこともあれば「属」を指すこともあるのが厄介。たとえば「ビフィズス菌」は「ビフィドバクテリウム属の菌」のことなのだが、世間的には「種」として解釈されることが多い。医療従事者ならしっかりと整理しておきたいところ(自戒)。