ウイルスとは何なのか、どのような特徴をもち、構造をしているのか、についてまとめました。
ウイルスとは
ウイルスは遺伝情報をもつタンパク質粒子で、「偏性細胞内寄生体」です。生きた細胞のなかに侵入しなければ数を増やすことができません。
形態学的に完全なウイルス粒子をビリオンといいます。
ウイルスの特徴
ウイルスの特徴について説明します。
ウイルスの大きさ
ウイルスの大きさは20~250nm。この世で最も小さな微生物。
ウイルスは生物なのか?
ウイルスは細胞構造をもちませんし、単体では数を増やすことができないので、生物ではありません。しかし、ヒトや動植物の細胞内に入れば数を増やすことから、微生物学上では微生物として扱われています。
ウイルスと細菌・真菌・原虫の違い
ウイルスと細菌・真菌・原虫の違いを表にまとめました。
ウイルス | 細菌 | 真菌 | 原虫 | |
---|---|---|---|---|
核酸 | DNA or RNA | DNA RNA | DNA RNA | DNA RNA |
リボソーム | × | ○ | ○ | ○ |
細胞壁 | × | ○ | ○ | × |
エネルギー産生系 | × | ○ | ○ | ○ |
二分裂増殖 | × | ○ | ○ | ○ |
ウイルスはほかの微生物と違い、DNAかRNAのどちらか一つしかもちません。細胞構造がないため、細胞壁もリボソームもエネルギー産生系もありません。数の増やし方も特徴的で、一旦自分をバラバラにしてから組み立て直す、ということをします。ウイルスのそれは、「増殖」ではなく「複製」と呼ばれます。
ウイルスの構造
ウイルスの構造について説明します。
核酸
ウイルスの核酸はDNAかRNAのどちらか一方です。
DNAとRNAはそれぞれ一本鎖、二本鎖と分かれているため、全部で4種類の核酸があることになります。ウイルスがもつのはこのうちの1種類です。
ウイルス核酸がもつ遺伝子の数は、約3~200個。細菌の約4000個に比べると、かなり少ないことがわかります。
カプシド
カプシドは、核酸を取り囲むタンパク質の殻。カプソメアという構造体がいくつも連なってカプシドをつくっています。カプソメアの数や並び方は、ウイルスの種類ごとに決まっています。
カプシドと核酸のことを合わせてヌクレオカプシドといいます。
エンベロープ
エンベロープは、宿主細胞の細胞膜由来の膜構造です。ウイルスが宿主細胞から外へ飛び出すときに、宿主細胞の細胞膜を被ることでできます。
ウイルスにはエンベロープをもつものともたないものがあり、もつものは感染しやすいです。細胞膜由来の成分でできているので、細胞に簡単に馴染んでしまうんですね。ただ、消毒薬や凍結融解に弱いので、感染防御もしやすいです。
エンベロープの表面には糖タンパクからなる突起がついています。これが細胞への吸着・侵入に役立ちます。
まとめ
ウイルスは直径20~250nm程度の、遺伝情報をもつタンパク質粒子です。偏性細胞内寄生体。細胞構造をもたないので生物ではありません。
ウイルスの構造は核酸(DNAかRNA)とカプシドからなっており、核酸とカプシドを合わせてヌクレオカプシドと言います。カプシドをつくるのは、カプソメアという構造体です。
ウイルスにはエンベロープをもつものともたないものがあります。エンベロープは宿主細胞の膜由来の膜構造です。これがあると細胞に溶け込みやすく、感染しやすいです。しかし、消毒薬に弱いので、感染防御をしやすいウイルスでもあります。