【歯科衛生士の微生物学】細菌の遺伝

細菌の遺伝について。

参考書籍

系統看護学講座 専門基礎分野 疾病のなりたちと回復の促進④ 微生物学 第11版第6刷

細菌の遺伝情報をもつ物質とその特徴

細菌の遺伝情報をもつ物質には、「染色体」「プラスミド」がある。

染色体

細菌の染色体の特徴は以下のとおり。

形状・個数

細菌の染色体は二本鎖DNAからなる。基本的に、形は環状で、数は1個。核膜がなく、むき出しの状態で細胞質内に存在する。核膜がない生物は細菌のみ(ウイルスは生物ではないので除外)。

形状と個数の例外は、

  • ボレリア属:1個だが線状
  • ビブリオ属:環状だが2個

などがある。

染色体の遺伝子数

染色体の遺伝子数は、自然界で生存する力が強いもの(例:大腸菌、緑膿菌)では多く、ヒトや動物などに寄生しないと生存が難しいもの(例:ボレリア属、マイコプラズマ属)では少ない。

プラスミド

多くの細菌は、上に書いた染色体のほかにも、遺伝情報をもつ物質「プラスミド」を所有する。

形状・特徴

プラスミドは小さな環状の二本鎖DNA。染色体とは離れたところに存在する。

生存に必要な遺伝子をもつわけではないが、薬剤耐性遺伝子や病原性に関わる遺伝子など、「生きやすくなるための遺伝子」をもっている。細胞が増殖するときに複製され、子孫に受け継がれていく。

細菌の増殖についてはこちら

プラスミドの種類

  • Rプラスミド:薬剤耐性に関わる遺伝子をもつ
  • Fプラスミド:接合により、ほかの菌に遺伝子を移す能力をもつ

Rプラスミドには、薬剤から身を守るための情報が組み込まれている。Fプラスミドは自らの性質をほかの菌に送り込む。